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年内にやっておきたい節税対策

今年も残りわずかとなりました。

毎年この時期になると年内にしておいたほうが良いことのご相談が必ずあるため、すぐにできて年内にしておけば節税につながることを過去の記事と同様にご紹介致します。

(1)生前贈与

贈与税は毎年1月1日から12月31日までの期間を課税の期間としています。そのため、年末までに行えば令和6年分の贈与として計算されます。そこで、令和6年に生前贈与をまだ行っていない方は、贈与税が課税されない110万円の範囲で贈与を行うことで、節税につながる場合があります。

なお110万円を超えて贈与を行い、あえて贈与税を負担することで相続税と贈与税のトータルの税負担が減る場合もあります。ご参考までに過去の記事(「生前贈与と相続税の税負担について」)をご覧いただければと思います。

贈与を行う場合には、贈与があったことを示す根拠書類を残しておくことを忘れずに行い、また110万円を超えて贈与を行った場合には、贈与税の確定申告が必要となってくるため申告忘れがないようにご注意ください。

また、上記に加え、令和6年分の贈与からは、暦年課税贈与を選択したほうが良いのか、相続時精算課税制度を選択したほうが良いのかの判断も必要になってくるため注意が必要です。

(2)株式等の譲渡益の損益通算

贈与税と同様に所得税についても、 毎年1月1日から12月31日までの期間を課税の期間としています。 そのため、12月31日までに行った取引が令和6年分の確定申告に反映されます。

今回ご紹介するのは、上場株式等の譲渡益がある方で一定の場合に当てはまる方が対象となります。なお非上場株式の売買に関しては対象としていないためご注意ください。

①既に譲渡益があり、含み損がある株式を保有している場合

例えば、令和6年中に証券会社の特定口座でA株式の譲渡益が500万円確定していて、12月時点でB株式の含み損が500万円あるとします。

B株式を年が明けた令和7年になってから売却すると、令和6年は500万円の利益が確定するため、この500万円に対して所得税等・住民税合わせて20.315%の税金がかかってきます(特定口座のため通常は売却時に源泉徴収済み)。

これに対して、 含み損があるB株式を年内に売却して損失を確定させた場合、A株式の譲渡益500万円とB株式の含み損500万円が相殺され、令和6年の利益は0円となり税金はかかってきません。

②上場株式等の損失の繰越期限が間近の場合

上場株式等を譲渡し損失が生じた場合には、確定申告を行うなど一定の要件を満たすことで損失を3年間繰り越すことができます(参考:国税庁「No.1474 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除」)。繰り越された損失は翌年以降の利益と通算することができますが、3年間の繰越期限が経過した後は切り捨てとなります。

例えば、令和3年から繰り越されている上場株式等の譲渡損失があり、繰り越されている損失の金額がある場合、令和6年中に含み益がある株式を売却すれば、確定申告を行うことで令和3年から繰り越されている上場株式等の譲渡損失と年末に売却した譲渡益を相殺することができます。

(3)ふるさと納税

テレビCMなどでも数多く目にすることが多くなりましたふるさと納税ですが、節税対策と言えるかどうかはさておき、実質2千円で返礼品を受け取ることができるのは大きなメリットと言えます。ふるさと納税を取りまとめている大手のポータルサイトでは簡単に控除限度額のシミュレーションができることから、これらを活用している方も多いと思われます。

実質2千円でその価値以上の返礼品を受け取ることができるため、ある意味では節税と言えるため今回ご紹介しました。ただし、受け取った返礼品は確定申告するうえでは「一時所得」となるため、他の一時所得と合算した金額が年間で50万円を超える場合には課税対象となるため、返礼品の受け取りすぎには注意が必要です。また、他の自治体に寄付を行い住民税の負担が減少するということは、自身が住んでいる自治体の税収が減るという認識も忘れないようにする必要があるでしょう。

参考ですが、ふるさと納税の確定申告を行う際に、各自治体から郵送されてくる「寄附金の受領書」の入力について、寄附先が多いと入力が大変だという方もいることでしょう。これについては、大手のポータルサイトが「寄附金控除に関する証明書」を発行することにより、確定申告の手続きが簡素化できるため、参考にしてください(参考:国税庁「ふるさと納税に係る寄附金控除に関する証明書等について」)。

(4)まとめ

贈与税と所得税の課税の期間は1月1日から12月31日の暦年課税です。そのため、年末に行った取引も同じ計算期間として計算されるため、今回ご紹介したケースのような場合には節税を検討してみてもいいかもしれません。その場合には、本当に節税につながるのかどうかをしっかりと検討することが大切です。

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