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インボイス制度に関してよくあるご質問④

令和5年10月1日からインボイス制度が開始されました。国税庁が公表しているQ&Aのうち、実務をしていてよくいただくご質問を抜粋し、解説致します。

今回は「少額特例(一定規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置)」をご紹介致します。なお、詳細につきましては、こちらの国税庁のページをご参照ください。

少額特例(一定規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置)とは、税込1万円未満の課税仕入れについて、適格請求書(インボイス)の保存がなくとも一定の事項を記載した帳簿の保存のみで仕入税額控除ができる特例をいいます。この特例を適用できる事業者は、基準期間における課税売上高が1億円以下又は特定期間における課税売上高が5千万円以下の事業者のみとなります。

専門用語が多いため簡単に解説致します。

「課税仕入れ」とは、消費税が課税され支払う取引のことです。「仕入れ」と表現されていますが商品の仕入れだけではなく、「機械や建物等の事業用資産の購入または賃借、原材料や事務用品の購入、運送等のサービスの購入、そのほか事業のための購入などをいいます。事業のための購入であれば、仕入先が免税事業者や消費者の場合でも課税仕入れに当たります。」

「基準期間」とは、簡単にいうと前々年の事業年度、「特定期間」は前事業年度の開始以後6か月間とイメージしてください。つまり、ある程度規模が小さい事業者のみが適用できる特例となっています。

「税込1万円未満」の判定は、国税庁のページで解説があるため引用致します。

税込1万円未満の判定単位

「税込1万円未満の課税仕入れ」に該当するか否かについては、一回の取引の課税仕入れに係る金額(税込み)が1万円未満かどうかで判定するため、課税仕入れに係る一商品ごとの金額により判定するものではありません。
したがって、5,000円の商品と7,000円の商品を同時に購入した場合(合計12,000円)には、少額特例の対象とはなりません。

また、「少額特例」はあくまで特例のため、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの期間(取引)が適用対象期間となるため注意が必要です。

実務的には、基準期間の課税売上高が5千万円以下の事業者は簡易課税制度を選択していることが多いため、基準期間における課税売上高が5千万円超1億円以下の事業者が少額特例の適用を気にする必要があると考えられます。

また、前回の記事でご紹介しましたが、そもそも適格請求書の交付が必要ない取引の場合には、少額特例の適用ができない事業者でも適格請求書の保存は不要のため、まずは自分が少額特例の適用対象者かどうかの確認をし、その次に一つ一つの取引について適格請求書の発行または保存が必要となるかどうかの判断をしなければなりません。

 

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